映画 ルキノ・ヴィスコンティ『家族の肖像』
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1994/09/28
- メディア: VHS
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期待しすぎていたのか、正直最後までみるのがつらかった…。
『ベニスに死す』は「老い」と「同性愛」を詩的に描いたもの、
とすると『家族の肖像』は上記のことをもっと直接的に描いた作品
といえないか。
老いた「教授」(バート・ランカスター)の家の2階を借りたい、と
ある夫人が訪れる。夫人と娘、娘の婚約者、そして夫人の愛人
コンラッド(ヘルムート・バーガー!!)が否応なく教授の
生活に闖入してくる。
教授ははじめは彼らを否定するが、次第に彼らが言い争いをすると、
仲裁するような立場をとる。
特に教授はコンラッドに惹かれている。
彼が美しいからか(コンラッド登場シーンで、教授は彼に目を奪われる)
教授の美術史の話を理解できるからか。
ラストの教授とコンラッド、夫人、娘、娘の婚約者が食卓を囲むシーン
は美しい。
居間でコーヒーを飲みながら教授は言う。
夫人たちが闖入して、自分の生活は乱されたが、
「君たちを家族だ、と思えば」許せると。
しかし手に入ったと思った家族との至福のときは、一瞬にして終わる。
『イノセント』のオープニングでは、古い本を片手でめくるシーン
から始まる。途中血のりなのか、本のページが重なってうまく次の
ページをめくれない。 それでもあえて片手でめくろうとする。
『家族の肖像』では脈拍の計測器の記す白いレシートのような紙
が何重にも重なり、紙は延々と流れてくる。
『イノセント』で「本」は、ジュリアーナの不倫が発覚する伏線
だし、『家族の肖像』では最後まで教授は生きていたが、いずれ
訪れるだろう教授の「死」を暗示しているのだろうか。