ドラマ「女の人差し指」

向田邦子X久世光彦スペシャルドラマ傑作選(昭和57年~昭和62年)BOX [DVD]

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【女の人差し指】

昭和15年11月。紀元2600年奉祝の日、戦争の足音が次第に近づく毎日だ。菊坂家は軍人遺族の一家で、長女・文子の婚約者・三村も上海駐在中だが、出征前に婚約解消を申し出たりしている。そんな三村に文子は「未亡人になっていもいい」と答えている。この日、公用で帰京するといっていた三村から、「帰レナイ」と電報が入った。文子は落胆し、仕方なく母・里子、妹・あき子と提灯行列に参加して気を紛らわせた

amazon紹介文から抜粋

この文子は、はっきりいって「嫌な女」に感じた。

男の前では声が小さく細くなり、媚びたりする。「おしとやかな女」

を演出して見せる。

かと思えば<けんけんぱ>をしながら石段を登っていたものだから、

鼻緒がきれたところを悪漢にみられ、そのままふらふら石段を登っていった

から悪漢に犯されそうになる。


うーん。田中裕子は好きな女優で罪はないけど、この文子はちょっと…。

夜遅くに後ろからきた男には気をつけるのが常識でしょ!

そこに四谷シモン演じる連城が助けにきて、事なきを得るわけだけど。


だんだん連城に魅かれていく文子。

連城のアパートで「私の、みましたよね?・・・みましたよね?」と

誘う声色で囁く文子。おそらく犯されかけた時に、体をみたかどうか、

と言ってるんだろうけど。 私自身がこういうふうに<男女のかけひき>が

上手くできないから、文子に腹立たしさを感じるんだろうか。


なぜ数多くあるTBS向田邦子ドラマシリーズの中からこの作品を選んだ

かというと、「四谷シモンが主要人物っポイ」とにらんだから。

結果は正解で、

ほんっとうに四谷シモンはかっこいい!!

私がリアルタイムでこの向田邦子シリーズをみていたときは、四谷シモン

はお医者さん役が多かった(というか、ほとんど?)けど、

不器用な文学青年で、ちょっとパーマがかかっていて。かっこいいわ。


この「女の人差し指」で文子が連城から傷あてにもらったハンカチに書かれた

名前と、持っていた本の出版社から住所をつきとめる過程や、

ストーリー全体が少女漫画チックでいいんだけど、文子が腹立たしいわ。


文子の婚約者・三村が来訪するからと、母親が既に口紅を塗っている

ことに気づいてから、母への女としての対抗心からか着物に着替えたり、

婚約した際に作った赤い着物を、文子は着物をきるよう、母に促されるけど、

恥ずかしがって席をはずしている間に、母親が自分の晴れ着を軽くはおって

いるところをみて、複雑な顔をしたり、


と母親と娘の女のライバル心のようなものも垣間見え、さすが向田邦子だな、と

思った。

けれど連城と一夜を共にし、朝帰りした文子に「お風呂わいてるわよ」

と言う母は、優しさからなのか、それとも急に帰京した娘の婚約者・三村

と文子を待つため寝ずに一晩を過ごした、ということで優越感を感じたからか。

私は優しさであってほしいけど…