映画『ユメ十夜』感想

先週観にいった『ユメ十夜』。

期待しすぎたのか、それともオムニバス(一夜ごとに監督が異なる)

作品が性に合わないのか、鑑賞中は「ふむふむ」という感じで、

あまり「すごく良かった!」と感じられなかった。


印象に残っているのは、第一夜、第五夜、第九夜。

原作ではあまり好きではない1・5・9夜が印象に残っているのは

やはり出演女優が好きだからか。

監督のなせる技なのか。


第一夜は脚本・久世光彦、監督・実相寺昭雄監督、とかなりのタッグ!

夏目漱石原作のなかでも表題作といえる「第一夜」をこのお二人(ともに

昨年亡くなられた)が担当したのは、よかったのでは。

小道具もきいていたし、キョンキョンの着物姿もかわいい!


ただ、音楽をサラサーテにし、主人公を漱石でなく、内田百輭にしている

ところなどをみると、鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』を

想起してしまう。


第五夜は、市川実日子ちゃん主演。

監督は豊島圭介氏。

ドラマ『怪奇大家族』でなんとなく親しみのある監督。

(思えば『怪奇大家族』に演出家として参加した、清水崇豊島圭介

山口雄大の3監督がこの『ユメ十夜』に携わっているのは意図された

ものなのかな?)

原作ストーリーは「うーん、よくわからない」という印象のものを

「あっ、こういう風に解釈もできるんだぁ」という点で面白かった

というか、奇想天外になっている。


それは『ユメ十夜』の全作品にいえる事だけれど、

原作に思い入れがある私は「こうくるかぁ」と感心することがしばしば。

「えー!原作でも言葉少なくしているのに、そんなに言語化して

わかりやすくする事ないのになぁ」と思う作品も1作品合ったけれど…。


第九夜は緒川たまきさんも光っていたけど、西川美和監督の

手腕もあいまって、第一夜の次に好きな作品。


十夜ある原作のなか、あまり印象にも残らないし、平坦な話。

原作は、夫が戦争から無事帰還することを、ひたすら夫のお百度参りをして祈る、母

と子の話。


それを西川美和監督は、原作にない部分を脚色し、印象に残った。


しっとりと緒川たまきさんを描いていて

(特に目印にしていた、碁盤の玉をくずした瞬間の緒川たまきさんの

のアップの美しさ!水に濡れて美しい!)も良かった。



そもそも私が原作である、夏目漱石の『夢十夜』を知ったのは、

かつて深夜で放送されていた、片岡K監督が、文学作品を紹介する番組・

「文学ト云フ事」というTV番組。


今回、「片岡K監督も参加していればよかったのに〜」と鑑賞後

思った。