映画 園子温『紀子の食卓』

借りてきたDVD。

園子温監督作品は、いつも「みようかな」と思いながら

「なんだか重そうだな」と観ずにいた監督。

去年「時効警察」で園監督の演出した回をみて、

「あら面白そう」と思ったのと、吹石一恵が主演、ということ

もあって借りてみた。


うーん。感想は

  • 長かった
  • 映画の主題が思ったより 重かった…


とけっこう疲れてしまった。

紀子が咄嗟にとった「家出」という行動から、一家が崩れていってしまう。

生きていくことはその場に応じて役割を演じて生きている。

家族の中では「娘」という役割を。

学校や会社での自分と、友達といるときの自分もまた違う役割を

演じている。

みんな演じることに疲れているのに、演じてしまう。

紀子はただ田舎や家族が嫌だから、ということで上京するけれど、

そこで出会ったクミコとする仕事は皮肉にもレンタル家族

の仕事。

ただそこで演じられる「嘘の家族像」に憧れたりしてしまう。


作中くりかえされる「あなたはあなたと関係していますか?」

という言葉。

自分ときちんと関係する、ってどういう状態をさすのか?

と自問自答するも、わからず。


ユカがラストで泣きながらしゃべる「みんな楽になりたいだけなのに」

という言葉。

そう、楽になりたいのに、与えられた役割を演じていかないと、

成り立たない世の中。


ラストは家族が再生しているかのようにみえるが

演じている紀子をみて、一人こっそり出て行くユカ。

そして朝、隣のベッドにユカがいないのに気づき、

涙を流す紀子。ただナレーションで「私は紀子」

というセリフで終わっているので、紀子は紀子にもどり、

ユカは誰でもない、新たな自分になろうと坂道を降りていく。



とにかくいろんなことを考えさせてくれる作品です。