本 久生十蘭『肌色の月』

いぜん古本屋で買ったままの文庫版「肌色の月」を読了。

といっても同時収録の「予言」「母子像」は未読なので

読了でもないが。


「肌色の月」は未完のまま作者が死亡、と記載されていたが

久生氏の奥様が結末を書いているので、モヤモヤ感は特になかった。

自殺するつもりだった主人公・宇野久美子が事件に巻き込まれ、

翻弄されていく様子にひきこまれた。


そして巻末に収録されている久生十蘭の奥様・幸子さんの手記は

読んでいるものに死の恐ろしさ、苦しさ、生きたいと思う十蘭の

願いが強く書かれていて、こころが苦しくなる。



ただ気になる箇所もあり、十蘭氏は

丈夫なときは、なんだかんだと面倒くさがって、月に二度ぐらいしか
お風呂に入らない人だったのに

とある。

えー!!!月に二回しかお風呂に入らなかったんですか、十蘭先生!

頭とかかゆくならないのかしら。


また『肌色の月』は映画化されているようで、(最終回が執筆されて

いないのに、映画化されちゃうものなの?)そちらもみてみたいなぁ。


久生十蘭というと、『キャラコさん』がいっとう好きな作品。

なかなか文体が難しい小説もあり、読むのを避けていたけど、

全集を少しずつ読んでみようかなぁ。