本 久生十蘭『肌色の月』
- 作者: 久生十蘭
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1975/08/10
- メディア: 文庫
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いぜん古本屋で買ったままの文庫版「肌色の月」を読了。
といっても同時収録の「予言」「母子像」は未読なので
読了でもないが。
「肌色の月」は未完のまま作者が死亡、と記載されていたが
久生氏の奥様が結末を書いているので、モヤモヤ感は特になかった。
自殺するつもりだった主人公・宇野久美子が事件に巻き込まれ、
翻弄されていく様子にひきこまれた。
そして巻末に収録されている久生十蘭の奥様・幸子さんの手記は
読んでいるものに死の恐ろしさ、苦しさ、生きたいと思う十蘭の
願いが強く書かれていて、こころが苦しくなる。
ただ気になる箇所もあり、十蘭氏は
丈夫なときは、なんだかんだと面倒くさがって、月に二度ぐらいしか
お風呂に入らない人だったのに
とある。
えー!!!月に二回しかお風呂に入らなかったんですか、十蘭先生!
頭とかかゆくならないのかしら。
また『肌色の月』は映画化されているようで、(最終回が執筆されて
いないのに、映画化されちゃうものなの?)そちらもみてみたいなぁ。
久生十蘭というと、『キャラコさん』がいっとう好きな作品。
なかなか文体が難しい小説もあり、読むのを避けていたけど、
全集を少しずつ読んでみようかなぁ。