本『私の男』桜庭一樹

私の男

私の男

読後、なんともいやな気分になった。

きっと父親である淳悟が若くてやせていなければ、こんな美しい話にはならないだろうなぁ。
最終章で父親が友人に9歳の娘を「かわいいだろう」と言う、ふつうの会話が怖かった。
その会話から見える父親の過剰な愛情に、こういう話は実際でも起こりうる話なのかな、と思うと
これまた怖い。
また主人公の花がコンパが終わるやいなや「おとうさんっ」と父にかけ寄る姿も奇異で怖い。


『私の男』は「壮絶な愛の物語」でなく、「怖く、恐ろしい」話。
だからまた読んでみたくなる。恐ろしい話を。

桜庭作品は初めて読んだけど、この作家は変わった苗字をつけるのが好きなんだろうか。
大島弓子のようだなぁと思った。