映画『Dolls』

Dolls [ドールズ] [DVD]

Dolls [ドールズ] [DVD]

北野武の映画はあんまり好きではないけど、この『Dolls』は映画館まで
観に行った。
気持ちが落ちているのに、追い討ちをかけられた。

描かれている菅野・西島カップルも、三橋・松原も、フカキョン・追っかけも、
3者ともに純愛で切なく苦しい映画。

この映画は日本の四季をとおして、ストーリーも流れていく。

始まりは春。桜の咲く公園を、菅野・西島ペアが赤いヒモでお互いの体をつない
で歩くところから始まる。
秋、フカキョンと追っかけの男の子が浜辺で出会うシーンで、いつも泣いてしまう。
フカキョンが交通事故にあい、顔を怪我して引退してしまっても思いは残る彼。
今まではフカキョンのポスターで埋め尽くされた部屋から一変、簡素な部屋で
彼がハーモニカで練習するフカキョンの曲「マミムメメモ〜♪」がよりいっそう
寂しさを演出して、すごく悲しい。
彼はおそらくフカキョンのいない世の中なら、目が見えなくてもいい、と思ったのか、
顔面の傷を気にして引退した彼女を慮ってか、自ら盲人になる。

満開のバラと、紅葉の中、二人で歩くシーンが美しい。

秋から冬に季節が変わるさまを、もみじの赤い落ち葉をつながれた赤いヒモに
からめつつ、白い雪の中に突入することで表しているのが斬新的で面白い。



この映画は多彩な色にいろどられている。

赤は血の色、紅葉の色、バラの花の色。
ピンクは菅ちゃんが惹きつけられる色。
黄色は西島くんの車の色(ちょっと黄色い車は趣味悪くないかな…)
緑は三橋達也の家の庭に植えられた木々の色。(ちょっと強引かも)松原千恵子
の巻いていたスカーフだったか帽子の色も深緑だった。
青はフカキョンの連絡先を聞きに行った追っかけ君のさしていた傘の色。
もう一人の追っかけ君も青い傘。


あとは菅ちゃん・西島くんはいろんな色の服を着て、
「つながれ乞食」と呼ばれているのに、なんでいつも服は山本耀司なんだ?と
いう疑問はあるものの、美しいから、まあいいじゃないかと思ってしまう。


日本の自然の美しさと、純愛を堪能した。