本 絲山 秋子 『エスケイプ/アブセント』

エスケイプ/アブセント

エスケイプ/アブセント

一時間弱で読めてしまうくらい読みやすい。

話し口調での文章だからか。


革命家やめた江崎正臣が、妹が開く託児所で働くまで

旅に出ようと京都に赴く。

そこで彼はあやしい神父と出会う。彼の家で起居するようになり、

教会に通う人々や隣に住むおばあさんと交流していく。

正臣は始終「誰か」と心の中で対話している。

そして「誰か」を探している。それは双子の弟・和臣。

正臣は和臣と出会えそうで、出会えない。


ここまでが正臣の話を描いたのが「エスケイプ」


後半「アブセント」は弟・和臣の視点で語られる。


正臣は非常に自由で、枠にとらわれず生きている。


発想がポジティブで、それは神父にしてもそうだし、この本に登場

する男たちは既成概念にとらわれず、イキイキとしている。

それが読後感の爽快さにつながるのだろう。

「こう生きなければいけない」と縛られることなく生きる彼ら

が羨ましい。