本 絲山 秋子 『エスケイプ/アブセント』
- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
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一時間弱で読めてしまうくらい読みやすい。
話し口調での文章だからか。
革命家やめた江崎正臣が、妹が開く託児所で働くまで
旅に出ようと京都に赴く。
そこで彼はあやしい神父と出会う。彼の家で起居するようになり、
教会に通う人々や隣に住むおばあさんと交流していく。
正臣は始終「誰か」と心の中で対話している。
そして「誰か」を探している。それは双子の弟・和臣。
正臣は和臣と出会えそうで、出会えない。
ここまでが正臣の話を描いたのが「エスケイプ」
後半「アブセント」は弟・和臣の視点で語られる。
正臣は非常に自由で、枠にとらわれず生きている。
発想がポジティブで、それは神父にしてもそうだし、この本に登場
する男たちは既成概念にとらわれず、イキイキとしている。
それが読後感の爽快さにつながるのだろう。
「こう生きなければいけない」と縛られることなく生きる彼ら
が羨ましい。