映画 『奇妙なサーカス』園子温監督

奇妙なサーカス Strange Circus [DVD]

奇妙なサーカス Strange Circus [DVD]

くさくさしているとき・・・

音楽だと ナンバーガール

映画だと 「奇妙なサーカス」を

聴きたく、観たくなる。


レンタル屋の兄ちゃんに「この作品は既に借りられていますがよろしいですか?」

とDVDをかかげられ、個人情報垂れ流しな仕打ちを何度受けようとも、

借りますとも。(てか18禁だったのね…)


ストーリーは

実の父親に抱かれて心病んでいく小学生の美津子(桑名里瑛)は、やがて嫉妬の果てに虐待を加えるようになる母親(宮崎ますみ)と心が一体化していき…。時が過ぎ、車椅子のエロス小説作家・妙子(宮崎ますみ・二役)の担当となった編集者の田宮(いしだ壱成)は、編集長の命令で彼女の身辺を調べ始めていくが…。

amazonより引用

以下ネタばれあり。垂れ流しな感想。

前半の父に抱かれる美津子の「父に抱かれているわたしは母の顔になっていた」という独白を聞いて、はじめ観ている側は小学生の少女が父からの近親相姦な仕打ちをそんなふうに思うかな、と思いながらみていたら、後半それは覆される。

エロ小説家・妙子の書いた「ミツコ」の話だと後からわかり、いしだ演じる田宮がミツコの話の感想を求められて「そういう友人がいました。まるで両手両足をとられたような気分だったって」というのが美津子の本心。
そのまんまの仕返しを父に。そして母は…。

校長室(父親は小学校長)へ行く廊下が血だらけの赤。真っ赤なバラの花の上に宮崎ますみが赤い口紅をして目を見開くシーンの赤。
前半は赤の強調とランドセルをしょった宮崎のグロテスクさにひきつけられる。


後半妙子の話でやっと前半が虚実のまじった話であることがわかる。(でも近親相姦は本当)
母は自分が美津子を殺そうとしたことに、精神に破綻をきたし、
美津子は「女」であることを捨てる。肉体的に。

それは性同一性障害だからでなく、「女だから父に犯された」と思ったからだろう。父親が「お前はなんだ?父さんは男だ。美津子、お前はなんだ?」「女です」と答えさせられ、犯されたからだろう。


整形(?)したあとの美津子やだるま状態の父より、その父を石段から突き飛ばし、ケースに軟禁して食事させる妙子のほうが恐い。
いちばん恐ろしいのは狂気に陥った人間。まるでホラー漫画(山岸涼子など)を読んでいるような。
サーカスのシーンの美しさと、女装した支配人や血糊まみれのギロチンのグロテスクさ。
それはこの映画の世界を凝縮していて、とても美しい。